引退。
派手さこそ無いが、三拍子揃った好選手で、同じ広島出身ということもあり、近鉄時代から俺は応援して来た。
以下はファンとしての欲目でしかないので笑って読み飛ばしていただきたいのだが、近鉄とオリックスの合併のゴタゴタの際の選手会長としての毅然とした振る舞い、そして分配ドラフトを拒否して新球団へというあえて荊の道を選択した男気に対し、俺は心の中でおおいに喝采を贈ったものである。
思えばイーグルス創設初年度、ほとんどが実績、知名度の無い選手ばかりのチームを彼は選手会長として引っ張っていた。
そんな礒部を観るために俺は球場に足を運ぶようになった。礒部がいたからイーグルスファンになった。
確かにここ数年は満足な数字を残せなかったかもしれない。
だが、ファンとしては「怪我さえ無ければ」、「チームの若返り策が無ければ」、「スター嫌いの野村克也が監督でなければ」・・・。
いろんな「タラレバ」が頭をよぎる。
そして何より「まだまだ出来るんじゃないか?」
そうそう思いも確かにある。
だが、そういった諸々の思いを飲み込んだ上で、先月末の戦力外通告以降、熟慮を重ねた上で彼が下したであろう決断を俺は支持したいと思う。
引退後はコーチとして後進の指導に当たるそうだ。
彼に続くミスターイーグルスを是非育てて欲しいものである。