8周年パーティー。
だらだら続くちょいちょい昔話シリーズ。
前日のヘビー級トーナメントを制した高橋さん。
常々「ベルトなんていらない」と公言して憚らなかった高橋さんだが、試合に勝ったことが嬉しくないはずもなく、その日はすこぶる上機嫌だった。
俺は真っ先に高橋さんの元へ行き、祝福の弁を述べた。
すると、
「松本さん、一番前で観てたでしょ?」
と、高橋さん。
あんたどんだけ余裕かましてんだよって話だが、俺はその時、心底心の中で叫んだ。
惚れてまうやろー!
今だから書くが、前日の試合で膝蹴りを自爆して肉離れを起こしたとかで、松葉杖をついての参加だったが、ファンの人、一人一人に丁寧に接していた。
惚れてまうやろー!
俺も暫し至福の時を過ごし、そろそろ会もお開きという時、高橋さんに挨拶に行った。
「今日はありがとうございました。色々話せて楽しかったです。」と、いうような事を言ったと記憶している。
すると高橋さんの口からとんでもない台詞が・・・。
「松本さん、まだ時間大丈夫ですか?折角なんでそこらへんで飯でも喰いませんか?昨日、激励賞とか頂いたんでおごりますよ。」
おいおいおい(by中尾彬)。
惚れてまうやろー!
どこの世界にファンにおごる格闘家がいるんだよ。
「じゃあ下のラウンジでお茶でもしますか」という話になって移動を始めたその瞬間、何を思ったか高橋さん、ファンのみんなにこう言った。
「ぼくがおごるんで下でお茶でもしませんか? でも限定10名ね。」
俺は自分が特別じゃなかったことに少し落胆したが(笑)、当然のように後からゾロゾロ人がついて来た。
「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10ってまあいいか。」
最終的には定員の何倍もの人数が集まっていた。
そして、俺は再び至福の時を過ごしたわけだ。
最後にさすがにすまながって自分で払おうとするファンの人から、伝票をもぎり取るようにして高橋さんが全部精算していた。
この辺の自慢話。その後、俺が自分の都合良く脚色して吹聴しまくったことは言うまでもない。
このシリーズ。ちょいちょい続く。